空・殻・核 (くうからかく)

クロノスとカイロスの狭間を転がる

10.地球と太陽と月の回転

私たち人間が暮らしているこの大地には、海や山や川や湖などがあって、他にもそこで生きている動物や植物や菌類や微生物たちがいて、その生活環境に大きな影響を与えている太陽と月という天体が昼間あるいは夜に空に輝いている。

そもそもこの大地が海などとともに、地球という惑星だったとわかったのは、近代に入ってからだし、私たちの地球を含む、水星・金星・火星・木星土星天王星海王星という惑星たちが、自ら自転しながら公転しているとわかったのは、なおさら比較的最近のことだ。そう考えると、太陽と月は、ずっと昔、太古の時代から知られていたし、私たちの生活を潤わすとともに、逆に、私たちの生活や生命にダメージを与え続けてもきた。それだけ、この私たちの血となり肉となり、もちろん当然のことながら、私たち自身の意識形成にも大いに関わっていると思われる。太陽は、天体の種類としては「恒星」であり、自らエネルギーを燃焼させながら輝き続けている。一方、月は、天体の種類としては「衛星」であり、惑星が恒星のまわりを自ら自転しながら公転しているように、衛星もまた惑星のまわりを自転しながら公転している。そもそも私たちが日常、仕事や遊びで使っている時間の単位である「1日」や「1年」はこの地球が太陽の見かけの周回運動をもとに決められたものであるし、今は、地球の自転周期が「1日」、地球の公転周期が「1年」とされている。さらに言えば、地球の公転周期は、地球の自転周期である「1日」との関係で言えば、正確には「1年=365.2422日」とされている。そして、「1ヶ月」もまた地球に対する月の公転周期との関係で決められており、月の公転周期は正確には約27.3216日とされている。なお、私たちが日頃、空に浮かぶ月の「満ち欠け」の周期は、満月から次の満月まで、あるいは、新月から次の新月までを基準にしており、満月は「望月」、新月は「朔月」と呼ばれることから、朔望月周期と言われ、正確には約29.5306日とされている。

 

科学の発展に伴う正確な値は別にして、人間の意識にとっては「ざっくり」とした値も大事で、地球の自転周期は1日=24時間×60分×60秒=86,400秒であり、月の公転周期は27日、月の朔望月周期は29.5日、地球の公転周期は1年=365日とすれば十分だったりする。このざっくりとした値をベースに、こんなことを考えてみる。

 

月の公転周期27日を「r」としてみる。すると、地球の公転周期365日は

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地球の公転周期に近似

に近似しているとも言える。これは、rをrで1回積分した値にr=27を代入した値になっている。すると、地球の自転周期(1日)、月の公転周期(1月(ひとつき))、地球の公転周期(1年)、つまり、見かけの天球上の天の赤道白道黄道上の1回転の周期に当たるものは、それぞれ、ざっくりとは、

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rの3つの数式

と表されているとも言えることになる。すると、月の公転周期r(日)を基準にすれば、rをrで1回微分したもの=1が地球の自転周期、rをrで1回積分したものが地球の公転周期に相当することになる。言い換えれば、地球の公転周期を月の公転周期で1階微分すれば月の公転周期、さらに、月の公転周期で1階微分すれば地球の自転周期になるということになる。要するに、「年」を月で1階微分すれば「月」になり、さらに1階、つまり、合計2階微分すれば「日」になるというわけだ。

 

これでも個人的にはなかなか面白いとは思うのだが、もう少し詩的な表現に変えるために、「微分」という数学用語を、量子論における観測という意味合いから「見る」という言葉に置き換えて、「太陽(地球の公転周期)を月(月の公転周期)の眼差しによって2度見ると地球(地球の自転周期)になる」というふうに言い回しを変えてはどうだろうか。少しはロマンチックな雰囲気になるだろうか。これなら、スサノオのような男がアマテラスのような女に見入られながら「君は僕の太陽だ」と告白すれば、この間の眼差しのやり取りはまんざらでもない気がするのだが…。

 

ちなみに、前述の

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という文字列は、数学的には、

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eのr乗のマクローリン展開

という指数関数の無限級数展開(マクローリン展開)における第1項、第2項、第3項になっている。もし、人間の意識の連続性というものが、仮に、このような無限級数展開との関係で語られるようになる日が来れば、その中に、地球の自転周期(日)、月の公転周期(月)、地球の公転周期(年)というものが内在的に含まれているとしたら、何とも面白いことだとは言えないだろうか。

 

最後に今までのことをまとめておくので、一見味気ないように思える数式たちを壮大なイメージを膨らませる一枚の絵のような感じで是非鑑賞してみて欲しい。

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地球と月と太陽の関係のイメージ