空・殻・核 (くうからかく)

クロノスとカイロスの狭間を転がる

4.オイラー線

ここで、「宇宙の果て」からの眼差しというものをちょっと考えてみる。その「宇宙の果て」こそが実はHuman(人間)の観測位置であり、そのHuman(人間)という遥か彼方からこのObject(対象、物)へと目掛けて眼差しが注がれるとき、既に眼差しの本来性としてのGod(神)がその線分上に書かれているとしたら、どうだろうか。それこそがH-G-Oと結んだ線分であり、本当は無限の長さを持つものが、その長さに縮められたものなのだ。3本の直交軸で特定されるある位置を持つ点Hから、その3方向を全体性として等価に関係させる原点Oという基準点へ向けて、その途中で、たいそうずっしりとした重みを有したある点Gが存在する。それはまるで「精神」が「物質」として結実する途上で、とても大事な何かをなんとか零さないように抱えたまま転がっていくもの――それこそが「生命」なのだとふと思う。

 

そこで、このH-G-Oを結んだ線分上に一体どんな秘密が隠されているのだろうかと、少し調べてみたい。この線分は、数学的には2次元の幾何学において、「オイラー線」と呼ばれるものだ。ウィキペディアの「オイラー線」の図を参照しながら、見ていこう。

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垂心・重心・外心の位置とオイラー

まず、三角形の幾何学で「五心」と呼ばれる、三角形の最も代表的な5つの中心があって、外心・内心・傍心・重心・垂心の5つを指す。このうち、オイラー線と特に関係が深い、垂心・重心・外心の3つについて説明する。これらh、いずれも、任意の三角形において成り立つ。

 

〇垂心H…三角形△ABCの各頂点A,B,Cからの各辺a,b,cに垂直に下した線分=「垂線」(青の線)は、1点で交わり、この交点を「垂心」Hと呼ぶ。

 

〇重心G…三角形△ABCの各頂点A,B,Cと各辺a,b,cの中点を結ぶ線分=「中線」(黄色の線)は、1点で交わり、この交点を「重心」Gと呼ぶ。

 

〇外心O…三角形△ABCの各辺a,b,cの垂直二等分線(緑の線)は、1点で交わり、この交点を「外心」Oと呼ぶ。この点は、各頂点A,B,Cから等距離にあり、三角形△ABCの外接円の中心である。

そして、この外心0と垂心Hを結ぶ線分を「オイラー線」と呼ぶ。このとき、重心Gもこの線分上にあり、この線分OHを1:2に内分する。つまり、2OG=GHとなる(ウィキペディアオイラー線」参照)。言い換えれば、外心Oと重心Gを結ぶ距離を「1」とすれば、オイラー線OHという線分全体は「3」の長さを持つというわけだ。

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オイラー

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重心はオイラー線を1:2に内分する

オイラー線は、直接的にも象徴的にもいろいろな秘密や暗示を内包している感じがとてもするのだが、象徴的には、外心は円を描く「コンパス」の支点に見えてくるし、垂心は直交性を示す「直角定規」の角に見えてくるし、そのコンパスと直角定規が取っ組み合っている現場の真ん中で両者の関係をじっと睨みを効かせながらG(重力)をかけているのが重心であるかように思える。これはどこかで見た記号のように見える。

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フリーメーソンのマーク

昔よく歴史の背後で秘密結社として動いてきたと言われた、あのフリ-メーソンのマークだ。まさかフリーメーソンのマークがオイラー線を表していたとは今まで思ってもみなかった(笑)。

 

ここで改めて、三角形のオイラー線OHの向きを変えてHOとすれば、この線分HOを重心Gによって2:1に内分される。これを、私たちの宇宙の歴史全体に当てはめてみよう。つまり、宇宙の歴史全体をオイラー線とみなし、138億年前の宇宙の誕生をH、今が宇宙の歴史の最新の時点だとすれば、それが点Oだが、人類の誕生である約800万年前はほとんど無いに等しく、点Oに近似していると言ってもいい。そして、宇宙の歴史の中で、その人類の誕生を含む地球の歴史は約1/3に相当する。つまり、ほぼ太陽の誕生=太陽系の誕生=地球の誕生として、宇宙の誕生138億年前に対して、太陽=太陽系=地球の誕生は46億年前

というわけだ。そうすると、おおまかには、H:宇宙の誕生=物質の誕生、G:地球の誕生=生命の誕生、O:人類の誕生=精神の誕生、となる。しかし、一方で、精神は物質や生命よりも先行して存在する気がするし、そうした先行する精神や生命があるからこそ初めて、いまここの最終局面に物質が存在すると思える。そう考えると、H,G,Oはむしろこの順で精神、生命、物質の位置であるようにも思えるのだ。いくつも視点を変えながら、この辺りをじっくりと考えてみるのも面白いかもしれない。

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宇宙と地球の歴史軸