空・殻・核 (くうからかく)

クロノスとカイロスの狭間を転がる

17.四苦八苦する黄金比と白銀比

私たちにとっては「比」と聞くと、前回の円周率よりも、「黄金比」や「白銀比」といったデザインでよく用いられる比の方が、むしろ「比」という言葉としては実はポピュラーな気もする。

 

さて、前回「31」が五七五七七の句をなす「短歌」の文字数の話をしたが、この五と七を「比」にすると、5:7となるわけだが、これは、5:7=1:1.4≒1:√2というように、正方形(正四角形)の一辺と対角線の長さの比の近似値になっていて、この比は「白銀比」と呼ばれる。同様に、5:8という比もよく用いられるが、こちらの方は、5:8=1:1.6≒1:(√5+1)/2というように、正五角形の一辺と対角線の長さの比の近似値になっていて、この比は「黄金比」と呼ばれる。この黄金比(√5+1)/2は、しばしばギリシア文字の「Φ」で書かれる。

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図17-1 黄金比白銀比と正多角形

ちなみに、長方形の短辺と長辺の比が黄金比1:Φになるものを「黄金長方形」、白銀比1:√2になるものを「白銀長方形」と呼ぶ。黄金長方形を黄金比で次々に正方形分割すると黄金螺旋を描くことができる。また、白銀長方形であるB0用紙を白銀比で分割していくと、B1,B2,B3,B4,B5,…の用紙を順に切り出すことができる。

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図17-2 黄金分割と白銀分割

    (http://ggdesign.blog48.fc2.com/blog-entry-106.html より)

 

さて、ここで黄金比白銀比を本来の定義による方程式から求めておこう。

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図17-3 黄金比白銀比の求め方

「四苦八苦する」と言えばちょっとした駄洒落になるが、この「49」と「89」を逆数にしたもの、つまり、「1/49」と「1/89」はそれぞれ白銀比黄金比と関係する。より具体的に言えば、1/49の方は、白銀比である√2の2乗である2の累乗が順に小数桁に現れ、1/89の方は、黄金比の元とも言えるフィボナッチ数列が小数桁に順に現れる。ちなみに、フィボナッチ数列とは初項1、第2項1で、第(n+2)項=第n項+第(n+1)項で与えられる数列のことで、n→∞のときの第n項/第(n+1)項の極限値黄金比に近づく。

 

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図17-4 黄金比白銀比黄金比白銀比と89分1のと49分の1

ついでに、黄金比白銀比を連分数形式で表示しておく。

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図17-5 黄金比白銀比の連分数表示