空・殻・核 (くうからかく)

クロノスとカイロスの狭間を転がる

14.平成と令和にまつわる神聖なる数遊び

元号が「令和」に決まった。

この「令和」の典拠は、国書である日本最古の和歌集「万葉集」(780年頃成立、全20巻)巻五にある雑歌の「梅花歌三十二首」の前につけられた「序」にある「于時初春令月 氣淑風和」(時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ)という語句だそうだ。ただ実際には、これと似た漢文が万葉集成立以前からある中国の中国の詩文集「文選」(530年頃成立)十五に収められた、後漢の文学者であり科学者の張衡(ちょうこう)が詠んだ「帰田賦」に「於是仲春令月 時和氣清」(これにおいて、仲春の令月、時は和し気は清む)とあるという。

なお、この万葉集巻五「梅花歌三十二首」の序の後に続く歌は、座の人々が四群に分かれて八首ずつ順に詠んだものであり、各々円座で回し詠みしたものとなっているそうだ。

(参考文献)
〇「令和」万葉集から由来をさらにさかのぼると?
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1904/01/news129.html

万葉集入門
http://manyou.plabot.michikusa.jp/manyousyu5_815jyo.html

この四群×八首=三十二首というのが数字オタクの私としては、非常に楽しい。
「32」と聞けば、素粒子物理学における万物の理論として注目される「超弦理論」に登場する対称性の一つであるSO(32)群を思い出す。SO(32)とは32次元回転群のことだが、この群の次元数が「498」である。なお、この「498」は3番目の完全数であり、「完全数」とは自分自身を除く正の約数の和に等しくなる自然数のことである。

さて、超弦理論には大きく、タイプⅠ,タイプⅡA,タイプⅡB,ヘテロSO(32),ヘテロE8×E8という5つの理論があり、ここに登場するゲージ群としてSO(32)やE8×E8があるわけである。SO(32)群とE8×E8群と同じ次元数であり、E8×E8群は2つのE8群の直積群であるが、この単独のE8群の次元数が「248」である。面白いことに、今回の新元号は「大化」から数えて「248」番目ということで、この数と一致する。

しかも、平成は「31」年で終わるが、直径1の円周の長さはπであり、これを3乗すると約「31」になる。つまり、直径1の円周を転がしてできる線分を1辺とする立方体の体積は約「31」になる。ちなみに、これを直径1ではなく半径1とすれば、半径1の円周の長さは2πであり、これを3乗すると約「248」になる。ちなみに、万葉集で詠まれている歌には、短歌・長歌・旋頭歌の3種があるが、短歌は五七五七七の「31」音である。

この「248」ですが、これは1930年に太陽系第9惑星として発見され、2006年のIAU(国際天文学会)総会で準惑星に降格した「冥王星」の公転周期が約「248」年である(また、万葉集が成立したとされる「780」年は、地球と火星の会合周期の年数と大体一致する)。

この新元号「令和」ですが、ひらがなで書けば「れいわ」、カタカナで書けば「レイワ」と読めて、ひらがなの「れ」は英大文字「R」の形に似ており、カタカナの「レ」は英大文字「L」の形に似ている。

ちょっといろいろと脱線しすぎたので、話を元に戻してもう一度整理する。新元号となった「248」番目の「令和」は、全20巻からなる万葉集巻五にある梅花歌三十二首の序に由来し、序に続く「梅花歌三十二首」は4群×8首=32首で、円座で回し詠みされたという。これぞまさしく「32」次元の回転群SO(32)の象徴とも言える。万物の理論における対称群の一つがSO(32)群であり、同じ次元数の別の対称群がE8×E8群を構成するE8群の次元数が「248」であり、新元号の序数と同じである。

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元号漢字73文字の使用回数

    (https://www.asahi.com/articles/ASM415R8GM41UHBI02H.html より)

 

あと1ヶ月で、新元号「令和」…どうか素敵な時代となりますように。