空・殻・核 (くうからかく)

クロノスとカイロスの狭間を転がる

1.何もないところから書き始めてみる

全く何もないところ=「空」(void)から何かを始めてみる。ただ実際には、全く「何もないところ」などというものは存在しない。気づいているか否かは別にして、そこには何らかの存在、何らかの気配、何らかのエネルギーといったものが存在しているのだ。かつて古典論においては、全く何もない状態だと考えられていた「真空」と呼ばれる場にも、常時、仮想粒子としての電子と陽電子、いわば、正粒子と反粒子対消滅と対生成が生じているという。結果的に相殺されてゼロとみなせる状態になっているだけだ。いや、もっと正確に言えば、理論的に最低エネルギー状態として満たされているところを、物理学では「真空」と呼ぶ。

 

それと一緒で、自分が書こうとするところにも、実は元々何かがあったのかもしれないが、そこを下地としてその上にとにかく新たに何かを書き記すのだ。それこそがゼロから書き始めるという行為だ。私も、そんなふうに何かを書こうと思う。

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時計草の花